医学生と、本棚

医者4年目(後期研修医(専攻医))がゆるく書いてるブログ。(ゆったり更新中)

東大医学部卒が語る医師国家試験多浪体験記 感想【暗黒通信団、の謎】

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「希望がちらつくがゆえにどこまでも絶望的」

 

すぐに沈んで溺れてしまう池ではなく、その気になればいつでも陸地に戻れそうな泥沼であるがゆえに、逆になかなか抜け出せない。

 

 

みなさんは、“国試浪人”という言葉、ご存知でしょうか。

 

医学生は、医学部受験という難関を突破した後、6年間必死に勉強し、

医師国家試験という厚生労働省が実施する試験に合格することで、

はじめて医師となることができます。

 

“国試浪人”というのは、医師国家試験に落ちた人のこと。

 

 

この本では、東大医学部という超難関を突破したものの

国家試験に落ち、国試浪人を経験することになってしまった(しかも多浪)著者が、

国試浪人を体験して考えたことを赤裸々に語っています。

また後半最後の章では、

作者が考える医師という職業について考えたことも述べられています。

 

 

まだ国家試験のことなんて考えていなかった頃。

“国試浪人”という存在を、はるか彼方にいる人、としか思っていなかった私。

 

でも、案外、身近に普通にいるのです。知っている先輩も、ちらほら。

 

この本にも書いてあったのですが‥

 

国家試験の合否判定基準には、

絶対評価、つまりこの問題で8割取れなかったら問答無用で不合格という基準だけでなく、

相対評価も含まれているというのが、ポイントなのです。

 

つまり、全員がきちんと勉強する優秀な学生だったとしても、全員受かる試験ではなく

きちんと勉強していたとしても、下から1000人くらいは必ず足を切られるため、不合格者は毎年必ず出るしくみ、ということ。

 

9割の受験生が合格=1割の受験生は必ず落ちる 試験だということ。

 

これ、かなり怖いですよね。読んでて、たしかにそうだ!!!こわ‥って思いました。人ごとみたいに書いてしまったけど、こういう評価基準の試験を実際に2月には受けなければならないっていう‥。身を引き締めなければって思いました。

 

あと最後の章に書かれていたこと、本当に共感しました。

 

医師というのはよく言えばオールマイティー、悪く言えば中途半端な職業です。給料が高いというイメージがありますが一流企業に勤務している人には遠く及びませんし、臨床現場で日々患者を診療している傍らで研究者ほど新しい事物の発見に集中できるわけでもありません。また患者の様子を常に見ていて一番長く接しているのは医師ではなく、看護師です。

医師には満遍のない知識と責任が求められ、仕事の性質上、どこか一つに偏って他を疎かにすることはなかなか認められません。

 

これは本当に共感。最近、医師って総合的に見て、バランスがかなり良い人じゃないとできないんじゃないかなって思っています。

 

勉強だけできてもダメ、人付き合いだけうまくてもダメ、得意科目だけ満点であとは全部苦手というものダメ。こういう偏りって人間誰にだってあると思うのですが、医学部ってこう偏りすぎている人にすごく厳しいんですよね。だから留年する人もたくさんでてきてしまう。

 

すべて満遍なく幅広く知っていること、その知識を、空気を読みつつ、適切に使いこなすことが求められるのです‥。まあこれは医師という職業だけに限らず大切なことだと思うし‥社会人として働く上で、仕方のないことなのかもしれないですが。医師という職業自体、仕事の精度が人の生死に直結する職業であるので‥。

 

 

ホント、薄い本だったけど、

内容は深い、深い、海の底‥暗黒レベルの本でした。

 

医師国家試験のことが知りたい人、国試浪人している人、

国家試験をこれから受けようとしている人、読んでみるといいかもしれないです。

 

東大医学部卒が語る医師国家試験多浪体験記

東大医学部卒が語る医師国家試験多浪体験記

 

 

―――

国試浪人したことによる、金銭的な困窮、世間からの冷たい眼差し‥それから国試浪人である自分のことを、ぶっちゃけ言えばただの“無職”と言い切れてしまう。そして受験生のため塾講師として働き、教え子を全員合格させておきながら、自分は試験に落ちてしまうという‥

なんだろう、カッコつけてない、この作者さんの、ぶっちゃけた感じと人の良さ

 

それがにじみ出ていたところが、とても良かった。

 

あとこの作者さん、結構いろいろ謎なタイトルの本を多く執筆されているようで‥。

永遠の0と魔法少女まどか☆マギカの類似点に関する考察とか‥。

 

あと謎に発行所の名前が、“暗黒通信団”なのも‥。

私のツボを的確に抑えてきていました!!!!!!

 

ホント、読みたい!!と思ったのですが、高いんですよねー。同人誌みたいな感じだからなのかな。電子媒体にしたら、もっといろんな人読んでくれそうなのになー。Kindleで個人販売するのって、ハードル高いのかな‥?

 

なんてことも思っちゃった私でした。

 

全然関係ないんですが、最近、医師国家試験勉強のために、見ている動画の先生が授業で、漫画少年チャンピョンの“刃牙(バキ)”のネタを交えることが多いので、バキ、本気で読もうか迷っている私です。

 

女の子でバキ、かなりガチで読みこんでいる人って果たしているんでしょうか‥。

 

ホント全然関係ないですね笑 すみません。記事のリクエストもいただいているのですが‥ゆっくり更新で申し訳ないです‥。じっくり考えておりますので!

 

それでは、今日も読んでいただきありがとうございました!

良い1日をおすごしください!