医学生と、本棚

医者4年目(後期研修医(専攻医))がゆるく書いてるブログ。(ゆったり更新中)

医者をめざす君へ 【医学部受験 おすすめ本/医学部面接対策/医師をめざす理由】

医者をめざす君へ

先天性心疾患のため入退院を繰り返す生活を送っていた、山田倫太郎くんが医者になりたいという弟くんに向けて書いた一冊、医者をめざす君へ。をやっと読み終えました。

医者をめざす君へ

医者をめざす君へ

 

 研修医なりたての私には、ドキッとする言葉ばかり。1ヶ月にして慢心というか‥例えば採血をする時は常に血で汚さないよう気をつけたり‥思い返すと、当たり前のことを時間がなかったり慌てていたりして、できていなかったりするので、患者さん側から見た自分を意識することを、ホントに気をつけよう、と心に誓ったのでした。

 

最近、親戚の高校3年生の子がお姉ちゃんみたく医者になりたい!と言ってくれて‥めちゃんこ嬉しかった私。でも、あまりイイアドバイスができなかったので、今日はまだペーペーの研修医だけれど、一応お医者さんになった私から医学部をめざす君へ、伝えたいことをココにまとめてみようかな、と思います。

 

 

医師をめざすきっかけ。

医学部に入りたいきっかけ、理由は本当に人それぞれだと思います。明確に理由がある、例えば身近な人が病気で苦しんでいて‥医者になって誰かを救いたいと思った人。自分自身病気を持っていてそれについて勉強したいから医学部にどうしても入りたい人。他の学部に入ったけれど、医学が勉強したいと思い入り直したいと強く思った再受験生。

 対して、親や親戚が医師、ただ単に成績が良かった、食いっぱぐれない安定した職業につきたいという志としてはちょっと弱いと言われてしまう理由の人もいると思います。

 私自身、医学部を目指したきっかけは、医療関係の親戚がいて親にも勧められたこと、そして食いっぱぐれることのない安定した職業につきたかったから‥というちょっと薄っぺらい理由でした。

最初から使命感が強い人も中にはいらっしゃると思いますが、これが現状なのかなと思います。だって、その世界に飛び込む前に見えることって限られていますからね‥。私が伝えたいのは、大切なのはその先だということです。

 

理想を考えることの大切さ。

2浪をして、大学に合格した私。まず考えたのはどうやってこの6年過ごし将来どういう風になりたいか、ってことでした。

浪人は究極の遠回り。人生におけるモラトリアム。2浪というのは序の口で、7浪の人もいたり再受験生もいる世界なのです。

勉強が忙しいから、そんなこと考えるヒマはないというのは、自分に対するちょっとしたウソ。一度大学に入ったり、働いてしまうと、自分を見つめ直す時間はもっと取れなくなりますし、方向転換するのも厳しくなります。なので、人生の岐路に立つ人は、たくさん悩んで、自分が将来どうありたいかをじっくり考えて欲しいと思うのです。

  

教科書に載っていなかった[20代の哲学]

教科書に載っていなかった[20代の哲学]

 

 遠回りしていいんだな、って思った一冊。浪人せずにすぐ大学に入った友人の背中が眩しすぎたあの頃の私にはぴったりだった本。手放しちゃったけれど。

 

理想がある人とない人。

自分が受験生の時はそんなに意識したことはなかったのですが、塾で指導にあたっていた時、そして少し成長した今、どうしてもわかってしまうこの差。

親や周囲に流されるまま、明確なビジョンのないままの人。

対して、自分自身どうなりたいのか芯がしっかりしている人。

受験、入学後の試験を乗り越えるだけであれば正直勉強さえできれば、流されるままであっても問題ないと思いますが、大事なのは、その後です。そこが明確に固まってないままだと、受験勉強に身が入らなかったり、せっかく合格したのにドロップアウトしてしまいます。

将来の具体的な目標はありますか?

 

聴くだけ面接+書類・小論文

聴くだけ面接+書類・小論文

 

 面接が苦手だった私。色々読んでみたのですが、この本が一番しっくりきました。自分の夢、行動をいかに具体的に語れるか、いかに目が生き生きと輝いているかが本当に大切なのだと思います。具体的に、というのがキモ。可愛い以外の要素で、どんなアイドルを応援したくなるか、考えてみるとわかりやすいのかも。具体的に将来のビジョンを語るということがどういうことかわからない人は読んでみると何かが変わるはず。

 

「すぐやる」思考法 (アスカビジネス)

「すぐやる」思考法 (アスカビジネス)

  • 作者:塚本 亮
  • 発売日: 2020/01/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

”理想”を考えることの大切さを教えてくれる一冊。最近読んだけれどものすごくよかったです。

下手にビジネス本たくさん読むよりはこの一冊をまず読んだ方がイイと思ってしまうほどまとまっている。

お仕事や勉強。成功するためのTIPSが詰まった一冊。 

 

医学部というところ。

一番大きく他学部と異なるのは、入ってしまうと、ほぼ医師になる道しかないというところです。他の学部のように、教員免許を取ってみたり、企業に就職したり‥いろんな道があるわけではありません。(医師にならない道ももちろんありますが、やっぱり少数です)

またバランス感覚が大切な学部でもあると思います。ガリ勉でもダメであるし、熱意だけでもダメなのです‥偏っている人にはとても厳しい学部、世界でもあると思います。留年なんて結構日常茶飯事なところがあるので、私たちからすると大したことないって思いがち(実際大したことはないです笑)なんですが、親からするともう大ニュースで‥。(あたりまえですね‥)こういうズレが出てきてしまうのも、医学部なのです。 

医者とはどういう職業か (幻冬舎新書)

医者とはどういう職業か (幻冬舎新書)

 

 医者、医学部のリアルがちゃんと書いてありました。ちょっと言い過ぎなのでは、と思うところもありましたが、ほぼその通りです‥って納得してしまうこと多々。読みやすいけれど、高校生で読める人は少ないのかな。医学生、大人向けかもしれないですが読んでみると価値観が変わると思います。

 

話すことあり、聞くことあり?研修医当直御法度外伝

話すことあり、聞くことあり?研修医当直御法度外伝

 

 私の尊敬する先生が書いた一冊。研修当直医のためのバイブル的存在、当直医ご法度を執筆した寺沢先生が書かれています。医学、24時間体制が必要なお仕事に携わる人は、ほぼ逃れられない、夜勤・当直。そこで起きるドラマやら、先生自身のキャリアの転換点などを集めた短編集。最後の格言に心打たれるのです。

 

臨床医以外の道を進んだ先生方が書いたエッセイよせあつめ。どういった人生を歩んできて、どうして医師になって、この分野にすすんだのか‥なかなか聴く機会がない大切なお話しが書いてあるのがいいところ。面白いです。 

 

本当にその道でいいのか。

つらつらとここまで書いてきたのですが、結論として私は医学部に入って、研修医になって後悔はしていないです。もちろん沢山悩みました。世の中にはいろんな気になる面白そうな道があるからです。今でも、もし私がこの職業についていたら‥と妄想したりします。(実は私は音響を学ぶ学部に興味がありました‥)でも後悔していないのは、軸がしっかりしていたからかなって思います。自分の今後がある程度想像できていたから。生活場所、給料、結婚、親への恩返し‥そういったいろんなことを引っくるめた今の自分は大きく外れていないんじゃないかなと思っています。もちろん今後ひょんなことで足元をすくわれたり予想もしないことがおこったりもすると思うけれど、将来を自分なりに考えて、少しずつ行動に移していくことを忘れなければ大きく外れることはないと信じています。 現実は厳しいけれど、夢を語ったり、いろんな視点を自由に取り入れて成長できるのは若いうちなのです!(もちろんこれからも成長する予定です〜。)あとは諦めないこころ!!

最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)

最後の秘境 東京藝大: 天才たちのカオスな日常 (新潮文庫)

 

 音楽、好きなんです。東京藝大は無理かもしれないけれど、こう人を突き動かす何かを生み出すっておもしろいって思うんです。そんな道もあったのかって妄想するととても幸せになります。

  

13歳のハローワーク

13歳のハローワーク

 

 13歳の時にもらって読んだおなじみのハローワーク。その時はただ、めくって楽しんでただけだったけれど、その時もっとしっかり考えていたら人生が全く違っていたのかもしれないな。

 

ふむふむ: おしえて、お仕事! (新潮文庫)

ふむふむ: おしえて、お仕事! (新潮文庫)

 

大好きな一冊。世の中にはいろんなお仕事があって、いろんな人生を歩んでる人がいるのです。 

 

 

魔法のことば (文春文庫)

魔法のことば (文春文庫)

 

 アラスカに見せられた写真家、星野道夫さんの講演。好きなことが仕事になった、仕事にするための行動力が本当にすごい。綺麗なオーロラとくまと広大な自然。スキなことを仕事にすることってすごいって思う一冊。

 

チーズはどこへ消えた?

チーズはどこへ消えた?

  • 作者: スペンサージョンソン,Spencer Johnson,門田美鈴
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2000/11/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • 購入: 11人 クリック: 153回
  • この商品を含むブログ (235件) を見る
 

 行き詰まったら、読むべき本。浪人時代、受験生時代は勉強だけに集中するからか、視野が狭くなりがち。まだ目の前に無いチーズ(合格、理想)をいかにして手に入れるのか、辿りつくのか‥。変化の時を応援してくれる一冊。

 

 

―――

今回は、今の受験生に伝えたいことを書いてみました。

医学部受験生向けの本って沢山あるし、色々読んではみたのですがどれもあまりしっくりこなかった私。もちろん勉強方法、偏差値、大学選びは大切で、リサーチはしっかりして欲しいと思うのですが、その前に将来のビジョンを明確にしておくことが一番大切なのだよ、ということを伝えたかったので、ちょっと書いてみました。

 

私含め‥いろんな人がいろんなことを言うと思うけれど、最後に決めるのは自分なのです。自分の人生ですもん。将来の夢を叶えるために、どうしてもその大学に入りたいと思えば、リサーチにも身が入りますし、死に物狂いで勉強しますし、試行錯誤しますから。

なので、将来のことを立ち止まって考える時間が何よりも大切だと私は思うのです。医学部は特に方向転換するのも難しい学部なので、今正直迷っている人がいたとしたら、一度じっくり考え直すことが大切なのかもしれません。

理想のために勉強するのでなく、ただ勉強をがんばって理想があやふやな人、自分のためじゃなくて自覚はないけど、親の理想のために頑張っている人は、やっぱり最後の最後でつまづくか、医学部入って苦労するか…必ず壁にぶつかります。(私がそうだったので😅)自分で考えましょ!

 

それでは、今日も読んでいただきありがとうございました。

受験生、ホントがんばって!めざしてるだけでえらいし、すごいです。

応援しております!!

 

病理医のお仕事について↓

otnika301-703.hatenablog.com