【研修医生活】秘密のカルテちゃん他。小話詰め。
最近は手術室で毎日のように、呼吸を補助するための管を入れています。
患者さんを眠らせては気管に管をいれ‥抜く毎日。
“呼吸が止まるくらいの眠り”って果たしてどんな感じなんでしょう。
泣いてる患者さんもたまにいらっしゃるんですが、どんな夢をみるんでしょう。
そんなわけでお久しぶりに今日は少し思ったことを書いていこうかなと思います。
秘密のカルテちゃん
カルテは秘密の塊。病気だけでなくその人の生きてきた軌跡がにじみでます。
家族構成からその人の性格、暮らしぶり、どのくらい普段動ける方なのかなど‥。
病気だけでなくどうしてそういった部分も丁寧に記載してあるのかというと、そこまで知らないと本当の意味での治療ができないからなのです。
患者さんは基本初対面。話を聞かないと輪郭すら見えてきません。性格も考え方も人それぞれですからね。それによって対応も臨機応変にしていかないと、治療すらできないこともあります。
自身の病気もひどいのにどうして病院へ来ないか尋ねると、家族の介護をしていたり、仕事の都合であったり‥退っ引きならない事情が隠れていることもあるのです。まずはそれを解決しない限り治療すらできない場合もあったりするので、深いところまで聞かないといけないのです。
またその人の全てではないけれど、いろんな職種の人から見たその人のパーソナリティーがカルテには映し出されるのです
カルテは医師以外にも、看護師さん、ソーシャルワーカーさん、理学療法士さん、作業療法士さん‥いろいろな方が書きます。
公文書というきちんとした文章でありながら、その人柄と囲まれる家族と、日常と‥色々な情報が日々更新されていきます。
たとえば末期がんの患者さん。
抗がん剤や副作用について、痛みをとるための薬や放射線治療、リハビリに関して‥以外にもいろんな情報が付け加えられるのです。
吐き気でつらくてねむれない!と怒っていたが薬を手渡すと謝られた‥などだいたい医師には言わないホンネから
誕生日とのことで、親戚の子供まで家族勢揃いしてケーキと患者さん本人を囲み笑顔でおられる。といったほっこりする情報まで。
客観的な情報しかないわけであるけれど、いろんな人からみた患者さんの姿がかかれている媒体ってホントに希少なのではないでしょうか。よくも悪くも人生の転換点である入院という事態。医療者の目というフィルターはかかっているわけなんですが‥ここまで生きてきた軌跡が丸裸にされちゃう機会なんてなかなかないですものね。
すごい背中にりっぱな刺青が入っていたり、なぜか奥さんらしき人が三人ほどいらっしゃたり‥
そんないろんな背景を持った患者さんを見ていると、いろんな人生があることに気づくんですよね。
ふと自分が大病して入院することになったとして果たしてここまで大事に思われるんだろうか‥?悔いなく人生生きてるんだろうか?などフツフツと考えたり。自分自身をふと振り返ったりすることもできるのです。それでちょっぴり焦ったり、親孝行とか今のうちにしておかないとなー。とか色々‥ね。
また書いている人に焦点をあてても、楽しめます。
書く人によっては?!で怒りや悲しみ?など感情を表したり、すごいみっちり書く先生からざっくり書く人まで様々なのです。性格がもろに出ます。
特に年配の紙カルテになれた世代の先生のカルテは特に趣があります。
いろんな人のカルテを見比べるのは、通な楽しみ方。
そんなこんなで色々な楽しみ方ができるのがカルテなのです。
考え方の違う人
この間同期で話してふときづいたんですが、
考え方や感じ方って人によってちがうんですよね。
違う人ばかり。上司・先輩・同期‥それぞれ考え違うのって当たり前なんですよね。ガイドラインといって標準治療があるにはあるけれども、どこまで患者さんに介入するのか・検査をだすのかは、科によってもちがう。
それで‥混乱していたけど、あたりまえなんですよね。それにやっとこさ気づきました。それから少し気がラクに。
この先生はこう言ってたけどな‥って悩む前に、まず自分で考えて導き出すことなのかもですね。
いろんな先生の背中を見る時期でもあるこの時、この瞬間。
はたして自分はどうなりたいんだろうって考えちゃう今日この頃。
年末年始と24時間営業
大晦日も元旦も病院におりました。
仕事に行く道すがら、年末年始関係なく働いているいろんな職種の方に出会いました。
まず電車の運転手さん・コンビニでほうじ茶ラテを注いでくれた(たぶん)ネパールから来たと思われる学生さん・守衛さん・掃除のおばちゃん・看護士さん‥
ゴールデンボンバーのボーカルのきりゅういんさんもそういえば大晦日は毎年バイトしているとかなんとか言ってたな‥とボーと考えてみたり。
年末年始・夜間関係なく働くことが求められている職業って本当に沢山あることに気づきました。学生の時にはあんまり思い当たらなかったけれど。
いろんな人が普通の人が休みの時に起こった事態を解決したりするのに奔走してるんだよなって。
そういう人によって支えられているんだなって。お疲れ様です。
ほうじ茶ラテをこっそり飲みながら診療に勤しむワタシは思いました。
薬指の真実
結婚式準備しようと思い立った今日この頃。
満を辞してビックブライダルさんにお話し聞いてきました。
軽い気持ちで行ってみたのですが、机へ案内されるなり始まった怒涛の結婚講座。
結婚式にかかる費用から期間、人気のある時期、ドレス、食事、式場の見積もり…
ホント大変なんですね。結婚式。
現実を見ちゃう私と理想を追い求める彼との考えの違いにぶつかったり。今までもそういう違いを乗り越えてきたわけだけど、結婚式って決めること沢山あるので、衝突したり話し合わないといけない場面がたくさんあるからぶつかりざるおえないなって。
華やかな晴れ舞台、家族・親戚・友人・職場の人に紹介する場という意味以外に、“協同作業をさせてカップルを試してやろう”…という魂胆もあるのではないのかということに今更気付いた私。色々話し合っていると、真実がこう、顔をだしますよね。相手の本音とか・金銭力とか・リーダーシップまで。
いつから結婚式って行われるようになったか分からないですけど、最初にこれを考えた人ってすごい。
なんて関係のないことをボーっと考えてみたり。
高校の友達の赤ちゃんが最近生まれてホントに羨ましい限りなのです。友達の結婚式に呼ばれることも増えました。ワタシも大きくなったものです。
あああ、この忙しい時期と子育てと重なってもこなしてやっていけているママさん女医さんはホントかっこいいし尊敬。そんな女医さんになりたいな。
NGチューブ
NGチューブってわかりますか?
ダメなチューブじゃないんです。これが。鼻から胃まで入れるチューブ”胃管“のことです。鉛筆より細い管で55cmくらい入れます。栄養が口から取れない経管栄養を行う人、胃液を採取する人、手術中の誤嚥を防ぐために使うものです。医療の現場って他にもいろんな管があるんですよね。尿がでる尿管に入れるカテーテル、点滴の管、抗がん剤治療でもよく使われる中心静脈に入れるカテーテルまで‥。そんななんの変哲もない管一本でも実は深い意味があるのです。
最近この“深さ”まで考えておらず反省した出来事があるのです。
「なんで今はNGチューブ、口から入れているのかわかる?」
手術室で全身麻酔をかけ、いつものように、口からNGチューブ入れた後に先輩に言われたのですが、その時初めて
“手術室での胃管は口から入れるものだ。”って思い込んでいて何にも考えてなかったことに気づいたんですよね。
「‥わ、わからないです。考えたことなかったです。」
「まず、この人は手術後この管を使うか考えてみて。」
「‥。つかわないですね。術後は何もなければ、ご飯をすぐ再開できる人なので。胃管は必要ないです。」
「そうだね。次に、麻酔が効いていない普通の状態の時に口からこの管入れたらどうなると思う?」
「気持ち悪くってもどす‥吐いちゃうと思います。」
「そうだね。もしさ、手術後も管使う人で口から入れちゃったらどうなるかな?」
「‥手術後使うのなら鼻から入れるべきだったので、せっかく入れたけど入れ直し‥」
「そうだね。なんかそういうのかっこわるくない?だからしっかり一つ一つの意味を考えないといけないんだよ。」
‥‥かっこよか!!久々に震えましたよ、、
こんな教え方できたらおおおおー!!っておもってもらえるんだろうなって。納得するしかありませんでした。というか教え方上手すぎる。
一本の管で深イイハナシができるようになるのがプロなのかもしれないですね。
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お久しぶりです、なんだかまだ寒いですね。
いまの私の眼からみた現場というか、女子研修医ってこんなこと考えてたのかというのが分かって頂けたら嬉しいです。
そろそろ1年目が終わってしまうという焦り、日に日に大きくなる責任やら変わっていく自分自身の環境…。
恐さと期待と半分半分‥とか言いつつ
新型肺炎のニュースを横目で見ながら、ポケモンに勤しみつつ、鬼滅の刃みたり、本読んだりしておるワタシです。良い先輩になれるよう頑張らないとなあ!笑
それでは今日も読んでいただき、ありがとうございました。