高瀬舟 感想【そして医師国家試験、を体験してみる?】
苦から救ってやろうと思って命を絶った。
それが罪であろうか。
殺したのは罪に相違ない。
しかし
それが苦から救うためであったと思うと、
そこに疑いが生じて、どうしても解けぬのである。
思い科を犯したと認められた、
京都の罪びとたちを
護送する役をつとめる、“同心”は、
ある夜、他の者たちとは、なにやら違う雰囲気の
“一人の罪びと”と出会い、
ある“問い”に
思い悩むこととなる。
そんな、ある一夜の物語。
――――
突然ですが、問題です。
かなり昔の医師国家試験からの出題ですよ。
98E50(98回国家試験より引用)
a 阿倍一族
b 最後の一句
c 山椒大夫
d 高瀬舟
e 舞姫
答えは‥
d高瀬舟です!
すみません。少し遊んじゃいました。笑
最初この問題を見た時、森鴎外先生の作品は、
教科書で読んだ、“舞姫”しか覚えておらず、
答えを見た時に、
何もピンと来なかった私。
これは‥まずい、読まなければいけない!
というわけで、
読むことになりました“高瀬舟”です。
高瀬舟は、
“安楽死”をテーマにした、お話。
不思議な雰囲気を持つ罪人。
彼は、じつは、
“病に侵された実の弟から懇願され、苦から救うべく、結果として安楽死させた”こと
を知った、同心。
果たして、この場合、“本当に罪なのか”、
思い悩みます。
安楽死は今の日本では認められていません。
しかし、
この状況になったとしたら、
誰しもが思いなやむ、のではないでしょうか。
安楽死と少し似ており、(似て非なるものですが)
日本でも認められている“尊厳死”。
尊厳死とは、
本人が延命措置を希望されない場合、
延命処置をしないと生きられない状況になっても
延命につながる処置(例えば人工呼吸器など)を
行わないこと。
病気に苦しむ人のそばにいる私たちが、積極的に命を絶ちにいくかどうか‥。
それでは、再び、問題です。
病気でどうしようもなくなった、あなたの大事な人。
“くるしい。くるしい。もう、いっそ、ころして‥”
と頼まれた時、
あなたなら、どうしますか。
aだまって、見つめて、手を握る。
b「そんな、そんな、とんでもない!私がついている。そんなこと間違っても、言うなよ!!いきているだけで、いいから!」と、抱きしめ、延命処置をお願いする。
cもうこれ以上苦しんでほしくない。だから悩んだあげく、“ドクターキリコ”(ブラックジャックにでてくる安楽死のプロ)にお願いする。
d担当の先生に、どうしても延命措置をしなければならない時になったら、本人の意思を汲み、延命措置は行わないことを伝える。(尊厳死)
まよった、あなた。
これは、答えの出ない問い。
一緒に、迷い続けましょう。
↓アマゾンプライムなら無料で読めるので、読んでみてはいかがでしょうか。
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国家試験をいつものように解いていたら、高瀬舟、に巡り合った私。
びっくりしました。こんな問題でるんですね。
かなり昔の問題ですが、“安楽死”のテーマの重要さが伺えます。
二宮敦人先生の、最後の医者は桜を見上げて君を想う、を読んだ時も
同じことを考えた私。
最後の医者は桜を見上げて君を想う、を読んで。【死と向き合う、ということ】 - 医学生と、本棚
“答えのでない倫理的な問いを、国家試験にも出題したらいいのに。”
そう思いつつも、
答えがでない問題はそもそも問題として成り立たないこともわかっている私。
しょうがないので、
今日も問題をひたすら解き続けます。笑
答えが存在する、問いを!
きついですが!!
最近読みたい本、有り余っているのです‥。猫ファンタジー小説とか。
勉強の合間に、少しずつ読んでいこうと思います。
それでは、今日も読んでいただき、ありがとうございました!!
今日も、頑張りましょ!